「損切りができなかった」
この一言が、当時の私のすべてを表しています。
FXを始めたばかりの頃、私はSNSで人気の“先出しトレーダー”の言葉を信じて、
自分で判断することをやめていました。
「損切しなくていい」「持っていればそのうち戻る」
そんな考えで含み損を放置し、
ある日突然、口座の資金はすべてロスカットで消えました。
あのとき、「やっぱり私にはFXなんて無理なんだ」と思いました。
でも今、私はもう一度こうしてFXに向き合っています。
この記事では、ロスカットで心が折れた私が、どうやって再挑戦できたのか、そして再スタートで決めた3つのルールについてお話しします。

同じように「もう無理かも」と思っているあなたに、
「それでも大丈夫だよ」と伝えたいです。
ロスカットの現実
最初のころ、私はSNSで活躍している“先出しトレーダー”の投稿を毎日のように見ていました。
「ロングします!」「ここから反発狙います!」
――その一言が、まるで正解のように思えたんです。
自分で考えることを放棄して、ただ“この人が言ってるから”という理由でエントリーしていました。
そのうち、私は「損切はしなくても大丈夫」だと本気で思い込むようになっていました。
だって、いずれ戻ることが多かったから。
過去のトレードでも、含み損になっても持っていればプラ転したことが何度もあった。
だから、損切りをすることが、ものすごく悔しかったんです。
「もし切らずに持っていれば、あのときも利益になったのに」 そう思うと、損切りのボタンを押すことが怖くてたまりませんでした。
「決済しなければ、損は確定しない」 そんなふうに、都合のいい考え方で自分を守ろうとしていたのかもしれません。
でも、そんな甘い考えが通用するほど、相場はやさしくありませんでした。
その日は、思っていた方向と真逆に動き、 いつのまにかロスカットラインに到達していて―― 口座の資金は、ゼロになっていました。
頭が真っ白になりました。 涙も出ませんでした。
「やっぱり、私にはFXなんて無理だったんだ」 心の中で、何度もつぶやいていました。
「損切できない自分」に絶望した
ロスカットされたその瞬間、私は自分自身に心の底からガッカリしました。
「なんで、あのとき切らなかったの?」
「ちゃんと損切りを入れておけば、ここまで大きな損にはならなかったのに」
「また同じことを繰り返した…」
後悔と怒りと情けなさと、どうしようもない自己否定。
SNSで参考にしていた先出しの人を、少しだけ恨みそうにもなりました。
「なんであの人は勝てて、私はこうなんだろう」って。
でも、本当は――
判断を丸投げした私が一番いけなかった。
「この人がロングって言ってるから私も」 「みんなが上がるって言ってるから安心」 そんなふうに、“自分の責任で決めていない”ことが、最大の敗因だったと、今ならわかります。
悔しくて悔しくて、数日はチャートも開けませんでした。
家事をしながらふと「もしあのとき、損切りしていれば…」と何度も頭に浮かぶ。
でも、どれだけ悔やんでも、失ったお金は戻ってきませんでした。
それでも、もう一度やり直したいと思えたきっかけ
ロスカットで資金がゼロになってから、私はしばらくFXから離れていました。 チャートを見るのもつらいし、家族にも言えず、ただ時間だけが過ぎていきました。
でも、時間が経つにつれて、心のどこかでまた「やってみたいな」という気持ちが戻ってきたんです。
きっかけは、現実的な不安でした。
子どもたちの進学。 これからかかる教育費のことを考えると、心がざわつきました。 さらに、自分のおこづかいすら自由にならない生活。
ちょっと欲しい服や化粧品、外でのランチさえも、 「これで子どもの参考書が買えるかも」と思って我慢する毎日。
子どもたちが巣立ったあとはどうなるんだろう?
夫が定年になっても、私は専業主婦のまま―― でも、その“専業主婦”は、誰が支えてくれるんだろう?
そう思ったとき、私は心の中でこう叫んでいました。
「私だって、自分の好きなものを、自分で気兼ねなく買えるようになりたい!!」
お金が欲しいというより、 自分で生きる力がほしい。
それが、もう一度FXをやろうと思えた一番の理由でした。
私が決めた“3つの再挑戦ルール”
もう絶対に同じ失敗は繰り返したくない。 そう思った私は、FXを再開するにあたって3つのルールを自分の中で固く決めました。
1.lotは最小から。0.01lotしかやらない
最初に決めたのは、lotは絶対に上げないこと。
1lotなんて夢のまた夢。 まずは0.01lot=1000通貨でコツコツと練習を重ねる。 これ以上でもこれ以下でもない。とにかく「最小でやる」と自分に約束しました。
利益は1日10円、100円かもしれない。 でも、続けることこそが、今の私にとっての“勝ち”なんだと気持ちを切り替えました。
2.損切りは必ず設定。自分で決めて、自分で押す
次に決めたのが、損切りは必ず入れること。
「戻るだろう」「まだいけるかも」―― そんな希望的観測は、もうやめる。
どんなに微益でも、自分で決めたラインで機械的に切る。 逆に、含み損でも「まだ待つ」と決めたなら、感情に流されず持ちきる。
“他人の判断”ではなく、“自分のルール”で動くこと。
それが、失敗から得た一番大きな学びでした。
3.毎日、トレード記録をつける
そして最後に決めたのが、記録を残すこと。
・なぜそのエントリーをしたのか ・なぜ負けたのか/なぜ勝てたのか ・そのとき自分はどう思っていたか
感情を含めて、ノートに書くようにしました。
過去の私は、負けた理由もメンタルの揺れもすぐ忘れて、 同じ過ちを何度も繰り返していました。
でも、記録を残すようになってからは、 自分の癖や思考パターンが少しずつ見えてくるようになったんです。
これは、技術以上に心の安定に役立っている習慣です。
この3つのルールは、私にとって「再スタートの土台」です。 そして今も、変わらず守り続けています。
まとめ
ロスカットは、私にとって本当に苦しい経験でした。
自分の未熟さ、甘さ、そして判断力のなさ―― すべてを突きつけられて、何度も「もう無理だ」と思いました。
でも、そこでやめなかったからこそ、 今の「自分で考え、自分で判断できる私」がいます。
私はまだ、大きな金額を稼いでいるわけではありません。 でも、大きく負けなくなったんです。
そして、自分でお金を動かせる力があるという実感が、 少しずつ私を「自由」に近づけてくれています。
「損切りを恐れなくなったとき、私はやっとスタートラインに立てたんだ」 そう思います。
もし今、損切りが怖くて動けない人がいたら、 ロスカットで自信を失ってしまった人がいたら、 私は伝えたい。
「それでも、やり直せます」
そして、あなたにもあなたなりのルールがきっと見つかるはずですよ。